「かれならん、在原のなにがしの、隅田川にてこと問ひけん、名もむつましき都鳥にや」とあはれなり。寿永二年七月二十五日に、平家都を落ちはてぬ。(巻第七・福原落)
巻第七 収録内容
巻第七は、寿永二年(1183年)四月から七月を描く。勢いにのる木曽義仲軍をおそれた平家一門はついに西国へとおちてゆく。
平家は源氏軍を追討しようとするが木曽義仲に惨敗する。比叡山の僧侶たちにも見限られた平家の衰勢は明らかとなり、平家一門は都を離れ、西国へ下る決意をする。気配を察した後白河法皇は平家から逃れ、身を隠す。住み慣れた邸宅に火をかけ、それぞれの思いを胸に平家一門は次々と都を落ちてゆく。福原にたどり着いた平家一門は旧内裏跡も焼き払い、西国へと船を出すのだった。
01 清水冠者(しみずのかんじゃ)
02 北国下向(ほっこくげこう)
03 竹生島詣(ちくぶしまもうで)
04 火打合戦(ひうちがっせん)
05 願書(がんじょ)
06 俱梨迦羅落(くりからおとし)
07 篠原合戦(しのはらがっせん)
08 実盛(さねもり)
09 玄肪(げんぼう)
10 木曽山門牒状(きそさんもんちょうじょう)
11 返牒(へんちょう)
12 平家山門連署(へいけさんもんへのれんじょ)
13 主上都落(しゅしょうのみやこおち)
14 維盛都落(これもりのみやこおち)
15 聖主臨幸(せいしゅりんこう)
16 忠度都落(ただのりのみやこおち)
17 経正都落(つねまさのみやこおち)
18 青山之沙汰(せいざんのさた)
19 一門都落(いちもんのみやこおち)
20 福原落(ふくはらおち)